認知症とは?

認知症の基礎知識

認知症一度獲得した認知機能が、何らかの原因によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたす状態

 

今日は、そもそも認知症って何?ということについて。

実は、認知症というのは病名ではありません。認知症は、何らかの原因で脳の働きが低下して、生活に支障をきたすような状態のことをいいます。「何らかの原因」というのは、具体的には脳に異常なタンパクが溜まってしまったり、脳の神経細胞が脱落してしまったりすることです。この「何らかの原因」の代表例が、よく知られているアルツハイマー病です。アルツハイマー病という病気によって脳が萎縮してしまうことで、認知機能がうまく働かなくなります。

私たちは何かを考えたり、状況を判断したり、見通しを立てて行動したりするとき、無意識にたくさんの情報を頭の中で処理しています。これにはとても高度な機能が必要で、それが認知機能と呼ばれるものです。脳が正常に働いているときは、私たちは認知機能を意識することはあまりないはずです。いわゆる、「無意識だけどふつうにできる、している」という状態です。たとえば「9時までに学校や会社に行かなければいけないから、7時には起きて、8時の電車に乗ればちょうど良い」とか、「少し混むけれど最短だからこのルートで行こう」とか、「コンビニでサンドイッチを買ってから行きたいから7時45分の電車に乗ろう」といった、日常の何気ない判断や行動も、始業が何時で、身支度にどのくらいの時間がかかるか、ルートの選択肢、混雑状況などなど、たくさんの情報から判断しています。これらはすべて、認知機能が正常だからこそできることなのです。

確かに、言われてみれば私たちの生活は判断の連続!

無意識に時計を見るのも、「時間」という情報の収集なんだ…!

これが、何らかの原因で認知機能がうまく働かなくなると、何かをしよう、考えようと思っても、何時にどこに行けばいいのかわからない、目的地までの道順がわからない、朝ごはんを食べていないけれどどうすればよいのか…といったように、日常の生活に支障が出てくるようになります。目や耳から情報は入ってくるのに、うまく処理することができなくなってしまい、『頭にもやがかかったみたい』とも言われます。これが認知症という「状態」です。

 

ポイント①「何らかの原因」が何なのかで、認知機能の低下のしかたが違う

認知症という状態は、「何らかの原因」で脳の機能が低下することによって起こるわけですが、ここで知っておきたいのが、その原因ごとに脳の機能の低下のしかたが違うということです。

たとえば、よく耳にする原因の代表例は「アルツハイマー病」ですが、アルツハイマー病では脳の中でも海馬という部分が萎縮するという特徴があります。海馬は記憶に関連するところなので、アルツハイマー型認知症では記憶障害が目立つようになります。でも、認知症=記憶障害ではありません。別の例をあげると、認知機能を低下させる別の原因である「ピック病」では、前頭葉や側頭葉という部分の萎縮が特徴です。前頭葉は、理性や社会性といったいわゆる「人間らしさ」を担う部分なので、前頭側頭型認知症では記憶の障害よりも人柄の変化や反社会的な行動のほうが目立ちます。

認知機能を低下させている原因がわかれば、どのような機能が低下しているのか、介護者も考えることができます。どのような機能が低下しているか仮説が立てられれば、同時に対策や支援も考えることができます。他のご入居者の部屋に入ってしまう方がいる時、自分の部屋がわからなくて入ってしまう場合と、他者の部屋に無断で入ってはいけないという認識がない場合とでは、受け止め方も対応も変わりますよね。

部屋がわからない方にはその方にとってわかりやすい表札を準備しようかな…

ルールの認識がない方には、ご本人と一緒に歩くとか、周囲の方々の理解を得ることも必要なのかな

 

ポイント②低下していくのは「一度獲得した認知機能」

今、認知症によって様々な困難を抱えている方々も、生まれた時から認知症であったわけではありません。もともとは正常な認知機能を獲得し、今の私たちと同じように無意識にそれを使い、生活してきた方々です。

無意識に使ってきた機能が徐々に徐々に使えなくなっていく…。「何してるの⁈」「前も言ったでしょ‼」なんて言われることが増えたし、自分でも何となくおかしいと思う…。この恐怖とストレスは想像を絶しますよね。

認知症の方々を支えるとき、スタッフも不安やストレスを抱えるのは当然。ただ、特に初期の認知症では、誰よりも不安や恐怖、ストレスを感じているのはご本人だということをまず軸に持ちましょう。どうせわからないだろう、とか、失敗させないように…となんでも介護者がやってしまうのではなく、どうしたらできるか一緒に考えたり、感じていることを話していいんだと思ってもらえるように対話をするほうが、認知症のご本人にとっても介護者にとっても後々プラスに働くはずです。

なんでもやってあげたほうが早いし、ご本人のためだとも思っていたけど、確かに、自分だったら ”どうしてこんなことが私はできないんだろう” って余計に落ち込んじゃうかも… ご本人がどうしたいか、ちゃんと聞いてみよう!

 


タイトルとURLをコピーしました